症例紹介
1.糖尿病

 何十年も糖尿病で悩んでいる患者さんに対し、インフォームドコンセントを得てこの療法を加えてみた。
 あなたは現状のまま治療療養している状態、即ち現状のレール上をそのまま走っていてください。私はあなたの服薬・注射・カロリー摂取状態・運動に関し助言指導を行いません。今までどおり私とは関係のない病院で、叉は従来どおりの治療継続をしてください。私はこの療法を加えてやるだけ、1ヶ月に1回HbA1c・1,5AG・2回随時血糖値を測定するだけです。患者さんが納得し、奥さん随伴であれば奥さんにも叉逆にも納得を得て開始する。
 Y.I.Tを行うと空腹感出てくる。食欲ですから無意識的に食べる量がふえ、一時的に随時血糖値ふえる。これはβ細胞のアポトーシスを誘起していると推測します。1〜2ヶ月後にHbA1cが上昇する人もいる。そこで食べる量をひかえるように力を入れて指導する。すると徐々にHbA1cは減少傾向を示す。体調が良くなってくると無意識食欲はまた働き出す。数値は波となります。その間のQOLは著しく改善する。16名でその数値移行経過を示します。

 1921年Banting&Bestがインシュリンを発見しましたが、その後お医者さんも患者さんも、糖尿病の最終的治療法はインシュリンしかないという、インシュリン信奉 インシュリン中毒に落ちっています。世の中には糖尿病薬を飲み、インシュリンを自己注射し、尚かつ足腰不自由とか寝たきりとかで運動など不可能でHbA1cが高値の方が沢山います。YITはその運動療法の代替として大いに役立ちます。今迄の治療を継続し、その流れの上に、YITを追加すれば良いのです。何故でしょう。YITは糖ではなく、中性脂肪を直接燃焼させるからです。HbA1cと中性脂肪(TG)の推移を10数例の症例で示します。
 糖尿病性網膜症で失明寸前と言われている方、或は糖尿病性腎症で浮腫に悩んでおられる方々、糖尿病性神経症・狭心症・寒がり等に是非この療法を今迄やっておられる治療に追加してみてください。
 インシュリンは糖尿病の予防にはなりません。あくまでもβ細胞の分泌を補充するだけです。YITは糖尿病の予防にも役立ちます。

糖尿病に対する治療の試み

ケース1   ●ケース2   ●ケース3   ●ケース4  
ケース5   ●ケース6   ●ケース7   ●ケース8  
ケース9   ●ケース10  ●ケース11  ●ケース12  
ケース13  ●ケース14  ●ケース15  ●ケース16  
ケース17  ●ケース18  ●ケース19  ●ケース20 
ケース21  ●ケース22  ●ケース23  ●ケース24 

インシュリンとの比較

東京 開業医 山脇 昂

 インシュリンは体内で糖を燃やせる。中性脂肪は燃やせない。矢追インパクト療法(YIT)は中性脂肪(TG)そのものを燃やせる。運動でエネルギーを消費すると同じ結果を齎します。それを糖尿病症例10例の経過で追っています。「中性脂肪(TG)を燃焼させ得る と言う 革命的な現象が この療法によって可能である。」この事を強調したいのです。この現象が起これば アトピー性皮膚炎が何故改善されて行くのか、他のいろいろな疾患に何故 劇的効果があるのか等説明可能です。
 運動以外に、体内で 直接的にエネルギー源となる蓄積脂肪であり 単純脂質の一種である中性脂肪(TG)を適度に燃焼させる操作・手段は、現在迄発表されているでしょうか? 2型糖尿病にこの療法(YIT)を遣っていると、先ず血中レベルの減少変化を示すのは、この数値であることに気づきました。運動負荷に代行できる療法であるとの認識をもちました。(参考:複合脂質は蛋白質と共に生体の重要構成成分と考えられており、直接的にエネルギー源となる蓄積脂肪とは本質的に異なる。蓄積脂肪のように、生体の状態によりその含量が大幅に変動するようなことは一般にはなく、むしろ生体内では一定の割合で代謝回転し、動的平衡が保たれている。蛋白質と共に生体膜を構成しており、細胞膜の各種の機能、例えば能動輸送・選択的物質透過性などに、重要な関係をもっている。中性脂肪はアシルグリセロールであり、一般的にトリアシルグリセロールは天然油脂の主成分で、動物では脂肪組織として皮下組織・肝・筋肉・内臓周辺および骨などに蓄積し、植物では主として種子・果実および穀類の胚芽に集中して見出され、蓄製脂肪(depot fat)とよばれる。また糸状菌にも含まれている。特殊な場合を除けば、一般にエネルギーの貯蔵源であり、生体内でCO2とH2Oとに完全に燃焼されたときに放出されるエネルギー量ならびに水の量は、炭水化物や蛋白質の場合の約2倍に達する。したがって水の不足に当面した生物体、例えば砂漠のラクダや発生を開始したニワトリの胚などにおける脂肪酸化の意味も大きい。その他、皮下組織の蓄積脂肪(いわゆる皮下脂肪)は無意味なエネルギーの放出を阻止すると考えられ、また内臓諸器官や骨を含む蓄積脂肪については、機械的障害に対する保護が考えられる。蓄積脂肪は、生体のいろいろな状況に応じて、エネルギーの貯蔵源として移動し消費される。古くから、脂質中の変動成分として、不動成分すなわち複合脂質から区別されてきた。蓄積脂肪の性状が生物の種類によって異なるのは、その分子中の脂肪酸の違いに起因している。これは一つには、摂取する食物内の脂肪酸の反映でもあり、また体内での脂肪酸合成能力の特殊性にもよる。動物体内における脂肪の酸化は、リパーゼによるグリセロールと脂肪酸への分解に始まるが、後者はCoAの参与の下でβ酸化の諸段階を経てアセチルCoAに到達し、クエン酸回路に入る。岩波生物学辞典 第4版 p10r、l200)



新 高トリグリセライド血症 ハンドブック  秦 葭哉 編
医薬ジャーナル社 P270  より
糖尿病診療上の運動代替療法