参考

参考:
終戦後間も無く矢追抗原(PVL‐YAOI) がでています。矢追秀武博士は、現在の矢追博美先生の叔父にあたる人だそうです。現在の矢追インパクト法(YIT)とは関係無いのですが、類似する療法であり、参考になりますので、矢追抗原(PVL‐YAOI)に就いて、断片的ではありますが、夏目 明良先生(愛知県知多郡在住)が集めてくださいましたので、掲載させて頂きます。


矢追抗原(PVL‐YAOI)による治療

本剤は元東大教授、伝染病研究所々員矢追秀武博士が創製され、多年東大伝染病研究所に於いて[精製痘苗]として試験製造されて来た[牛痘ウィルス浮遊液」で今回当社が之を同博士直接指導監督の下に製造、市販することになったものである


牛痘ウィルスによるアレルギー性疾患の治療に就て
前東京大学医学部教授・横浜市立大学医学部教授  矢追 秀武

皮膚科領域に於ける精製痘苗の使用
東京大学医学部教授  北村 包彦

矢追教授の創製された精製痘苗が皮膚疾患の治療に使用されるようになったのは終戦後間も無いことであった。
東大皮膚科教室では昭和23年始めてこれを各種皮膚疾患に使用、我々はその成績を翌24年8月、第14回関東々北皮膚科連合地方会で発表した。爾来、一定皮膚疾患に対する本剤の有効性は漸く認められ、今日では有力な皮膚科薬剤の一つとなった。
多くの抗アレルギー療法剤が速効的ではあるが、〔中略〕に於ける有効性は、100%に近い。効果は一時的のことが多いのに対し、本剤は遅効的であって、併しその効果は極めて持続的である。このことは本剤が抗ヒスタミン剤等に比しアレルギーの発症プロセスのより上位地点に作用するためではないかと思われる。本剤の本質に就ては、これを加熱滅菌すると効果のうしなわれるのは恐らく活性Virusに治療作用のあることを意味し、本剤によって矢追教授の所謂Virotherapieが行なわれるとして良いだろう。
製造 日本ワクチン株式会社


精製痘苗の治療的応用
前伝染病研究所所長・東京大学名誉教授  宮川 米次

矢追氏(昭26)は牛痘のウィルスの生活力その化学成分が、アレルギー性疾患或は自律神経支配障害に基く諸疾患に対して、多かれ少なかれ治療的に奏効することがわかってきた。又ある場合には、生体の発育増進、或は体質改善が達せられそうにも思われるといっている。



精痘効果の認められる疾患
気管支喘息、喘息性気管支炎、毛細管気管支炎、百日咳(混合接種)、チフス(混合接種)、
ロイマチス、骨結核、神経痛、植物神経症、血管神経症、フリクテン、鞏膜炎、上鞏膜炎、
一般嘔気嘔吐、妊娠悪阻、妊娠腎炎、本態性高血圧症、夜尿症、小児ストロフルス、ロイマチス性結節紅班、
湿疹、蕁麻疹、毒物性皮膚炎(ウルシ皮膚炎、白髪染皮膚炎、硫黄に依る皮膚炎)、多形進出性紅班、
ウィルス性疾患(単純性疱疹、帯状疱疹、水痘)、横隔膜痙攣症(吃逆)、気管支痙攣、食道痙攣、胃痙攣、
若菜病、胆石仙痛、血清病、古草熱、メニエール氏病、肺結核(咳嗽、喀痰等)、
Plummer-Vinson'ssyndrome,脊髄前角炎、重症筋肉弛緩症(Myasthenia Gravis)


コメント:こんなに沢山の病名に効くと書いてあります。例えば重症筋肉弛緩症(Myasthenia Gravis)に効くとすれば、私が主張しているように、眼瞼下垂とか顎下垂とか猫背等脊椎後弯症矯正改善に最適で、立位身長を元に戻せると思うのですが、当時「何の病気にも効く」と訴えて、周囲の一部の人達から反感をかって、立ち消えになってしまったのでしょうか。(記 山脇 昂)



精製痘苗の副腎皮質及び細網内皮系機能に及ぼす影響
横浜市立大学医学部小児科教室(主任有田教授)  相見 基次

図1

図2
(2)精痘の副腎皮質機能に及ぼす影響
  1)尿中17ケトステロイド排出量に及ぼす影響

以上精痘を皮下注射した場合、一過性に尿中17ケトステロイド排出量増加と流血中好酸球数の減少を認めたことは精痘が少なくとも一時的に副腎皮質機能を亢進せしめると結論出来ると思われる。

(5)かかる精痘の一過性の副腎皮質機能及び細網内皮系機能賦活作用は精痘の生体防禦機構に及ぼす機序の一つと考えられる。
(日本小児科学会雑誌 第58巻第4号 昭和29年4月1日)
尿中17ケトステロイド硫酸塩(17‐KS‐S)について尿中17ハイドロオキシコルチコイド硫酸塩(17−OHCS‐S)との論文(元北海道大学名誉教授 西風 脩先生の御遺稿)を英文ですが、紹介させて頂きます。
Original Paper
Adaptation to Stress when Considered in Relation to Food Intake, Nishikaze et al,
JpnJ Psychosom Med 40: 439-466,2000

矢追博美先生の作ってくださった 精製痘苗等の参考表
稀釈精製度
抗原種類
原液段階 第1次精製 第2次精製 高倍稀釈
結核菌 BCG ツベルクリン 精製ツベルクリン 丸山ワクチン
天然痘ウィルス 痘 苗 精製痘苗
(矢追抗原)
アストレメジン ノイロロピン
真菌(その他抗原) スクラッチテスト液 診断用エキス 治療用エキス インパクタン

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参考:
減(脱)感作療法の出発点となった、Noon, L.: Lancet, 1, 1572, 1911. とそれに続くFreeman, J.: Lancet, 2, 814, 1911. を提示させていただきます。(下線は山脇による)

Noonの論文の題 PROPHYLACTIC INOCULATION AGAINST HAY FEYER が示すごとく、あくまでも 予防接種 であり、治療では有りません。 これがいつの間にか減(脱)感作療法として、現在日本の保険治療(青本)に取り入れられ、何の進展もなく、疑問もなく踏襲され採用されています。 治療効果としてもはかばかしい療法ではありません。治療として保険点数化されず、予防接種 であり続けていれば、もっともっと大きな可能性を秘め、多方面に発展したはずです。 生命現象は限りなく発展して行ったと考えます。例えば次第に老化して曲がってきた背中を元に戻す等々。
予防が治療という桎梏にはめられてしまった。この桎梏から解放されねばならないと考えます。 桎梏からの解放を私は遣っているのです。

The result of these experiments so far is to show that the sensibility of hay fever patients may be decreased, by properly directed dosage, at least a hundredfold, while excessive or too frequent inoculations only serve to increase the sensibility. It still remains to be seen whether the immunity thus attained is sufficient to carry the patients through a season without suffering from their annual attacks of hay fever.
-----Noon, L.: Lancet, 1, 1572, 1911.


Changes in susceptibility presumably have an inverse correlation with changes in immunity to the pollen toxin, and Noon applied this quantitative test to the study of changes in immunity produced by subcutaneous inoculations of pollen vaccine. In this way he demonstrated that suitable doses of pollen toxin increased the patient's immunity, while unsuitable doses either did not affect, or even decreased, this immunity; this brings the pollen inoculation work into line with the bacterial inoculation work of Wright and his school. These points established, Noon set to work to immunise hay fever patients during the off season in preparation for the season which we have just passed through.
-----Freeman, J.: Lancet, 2, 814, 1911.


ここに現在行われている減(脱)感作療法と矢追インパクト療法の比較を提示します。

宮本昭正 減・脱感作療法 矢追インパクト療法
1) ハウスダストの稀釈
力価が失われるから、アレルゲンエキス 対照液 「トリヰ」 2mL・9mLを使用する。
1) ハウスダストの稀釈
力価を問わない迄 超極微稀釈するため、アレルゲン治療エキス「トリイ」 稀釈液 2mL・9mLを使用する。
2) アレルゲン 猫毛 エキス「トリヰ」
診断用 に使用する。
2) 超極微稀釈し、治療のため皮内注射する。
3) アレルゲン スクラッチエキス「トリイ」 ダニ
診断用 に使用する。
3) 超極微稀釈し、治療のため皮内注射する。
4) 複数注射する人もいる。皮内注射は痛いから皮下に注射する。 4) 6個別々に 皮内注射する。6個の内容は別に記す。
5) 作用は抗イデオタイプ抗体の産生とサプレッサT細胞と共に アレルギー状態を、減感作により回復する可能性も考えられる。 5) 人為的惹炎症 神経軸策反射の利用 6個使用による累積・相乗・増幅効果を見る。
6) 診断とは、局所の発赤反応の大小を指す。同時に起こっている全身反応に付いては何も書いていない。 6) 局所反応と同時に起こっている全身反応を見る。この全身反応を利用する。
7) 右記の事は何も書かれていない。 7) 全身の僅かな燃焼上昇作用を利用する。
8) 右記の事は考えられていない 8) 6)、7)から考えられることは糖尿病に運動療法として作用する。