学会発表抄録
9.第12回 東京臨床内科医学会               平成11年3月

 【会員学術発表】
 矢追インパクト療法(Y・I・T)--胸部単純大角X-Pのアルバム機能--

 渋谷区医師会(山脇診療所) 山脇 昂

 1995年9月金沢で行われた日本臨床内科医会で矢追先生が発表されるまで、私はこの療法の存在を知りませんでした。直感的に「人間のための、人間による療法だ」と思った。

 (目的)
 日本医師会発行「胸部X線写真のABC」にもほとんど言及されていない-Aの読影情報が、毎年の誕生月健診による蓄積によって得られる。またDの情報も得られる。このことに気付いたのはY・I・Tを行ってからです。「一枚の写真の理論的な読影に比重を置く」と言うこの本の主旨を越え、おおよそ同一条件で撮られている一連の正面像のみから、横径・縦径・縦隔洞または心の幅・上下移動・その他斜に縦にいろいろなことが比較できる。

 (方法)
 スクラッチテスト用にも用いる鳥居薬品製アレルゲンエキス(ハウスダスト・ネコ毛クズ・ダニ・カンジタ・スギ花粉又ブタクサ又ヨモギ)マルホ薬品のパスパート、アレルゲン治療エキス「トリイ」稀釈液を用い、10x倍(Xは整数)に稀釈し、両前腕皮内にスポット的又は定期的に各三個ずつ「お豆」を6個作ります。

 (対象)
 首挙上不可となり、老化性円背を程し、胸痛・胸苦しさ・息苦しさ・眩暈・偏頭痛・肩こり・歩行困難等を訴える人、各々個々の症状のみを訴える人に行いました。

 (結果・結語)
 アルバム機能は経年変化による胸郭内臓器の上下圧縮を物語ります。まだ画像的に比較できない軽微な変化でも、これらの愁訴を惹起するであろうと推測します。Y・I・Tはこれらの愁訴を瞬時に癒します。これは上下圧縮を軽微矯正し、内容臓器をわずかでも解放するからだと考えます。
 「軽微上下圧縮」からの解放こそは、いろいろの症状・病気・病名からの解放に示唆を与えると考えます。これからのQOLの向上にご一考願いたく思います。

 【紙上報告】
 矢追インパクト療法(Y・I・T)--腸管出血性大腸炎に行った一例--

 渋谷区医師会(山脇診療所) 山脇 昂

 私は激しい下痢・腹痛・嘔気嘔吐・腸管蠕動マヒ等に対し、何度かこの療法を行って緩解に導いた経験がある。今回は0−157(+)、VT(+)、VT(+)の一症例を報告します。

症例:55歳・主婦
 1998年8月2日(日)、夕食に関さばを生食した。その後2日間腹鳴・膨満感続き、3日目は激しい下痢となり、ついに血液が主という状態となり、腹は千切れる様に痛む。
 8月8日(土)初診・便採取。脱水、エネルギー不足状態著明のため点滴を行う。ソルラクト1,000cc+20%G20cc5A+ブスコパン2A+アザクタム2V+強ミノC1A終了後少し楽になった様子なのでY・I・Tを行った。救急と考えインフォームドコンセントは得ていない。弱っている上にいきなりこの痛い療法をやられたので、患者さんは私を睨み付けていました。これがだめなら救急車で大病院に収容してもらおうと考えていました。しかし更に楽になったらしく、自力で帰宅できる状況となりました。抗生物質・止瀉剤・鎮痛剤等何も投薬しません。
 8月9日(日)まだ腹痛と不安のため病院受診し、そこでの治療の詳細は不明ですが、便採取も注射も入院もしていません。
 8月17日(月)検査所からFAXあり、その日迄夏休みだったので翌18日に知り、保健所に連絡しました。本人から連絡あり「昨日迄少し腹がごろごろしていたが、もう何ともありません。ありがとうございました」という電話でした。Y・I・Tを1回のみスポット的に使用した一例です。
 この報告を書く段になって電話してみたところ「世の中この病気のために皆いろいろ騒いでいるのに、私だけ何故こんなにスムーズに直ったのでしょう」と不思議そうでした。