学会発表抄録
13.第15回保団連医療研究集会                       2000年11月

矢追インパクト療法(YIT)

東京保険医協会 山脇 昂

 呼称は些か仰々しいですが、盛岡在開業医 矢追博美先生が岩手県立中央病院呼吸器科医長の頃、主流であり、現在もそうである 減感作療法より、もっと超微稀釈し、複数皮内注射する方が、喘息・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎に効果的だという印象を持たれ、1984年開業されてから、この療法を遂行発展させて来られました。1995年9月日本臨床内科医学会(金沢)であり、小さい時から54歳まで鼻で悩んできた私はこれを聞いて、直感しました。早速先生の所にお伺いし、自分に遣っていただき、教えを請いました。この療法は、先生方が日常遣られている「皮内テスト」そのものです。それが即 治療になっていることに気付いて欲しいのです。
  先生は小児に主に遣っておられましたが、私は小児科ではありません。大人・老人に対し、インフォームドコンセントを得て、いろいろな疾患に遣ってきました。
  驚くべき生命現象を体験したので発表したく思います。インターネットでは、まだまだ不充分ですが、詳細は、YAHOO!で「山脇診療所」 御検索ください。
 減感作療法では、まず何に陽性反応を示すのか、数個のパッチテスト・スクラッチテスト・皮内注射テストを遣り 数十分後にその局所の発赤が9mm以下では 反応は陰性、それ以上では陽性 というふうな判定を下します。そして最小陽性濃度を見つけ、治療として1〜2種漸次高濃度に皮内注射を移行させていき、或アレルゲンに次第に耐久力をつけてやる という考え方の療法です。その時 検者も被検者も局所反応にのみ気を取られていて、同時に起こっている全身反応に全く気付いていない。この同時に起こっている全身反応こそが、矢追インパクト療法(Yaoi Impact Therapy)の源です。ハウスダスとは何から出来ているのか?それは人間からの剥落物質であろう。(紀伊国屋書店発行 科学選書9 利己的な遺伝子 増補改題『生物=生存機械論』リチャード・ドーキンス著 日高敏隆・岸 由二 羽田節子 垂水雄二=訳 P394)
 私もそう考えております。
方法
 私の遣っている 矢追インパクト療法(以下YITと略)は、何に陽性反応し示すのか、示さないのか、には全く囚われず、局所反応には一切気をとられない。この全身反応を重視して利用する。
  鳥居薬品製の アレルゲンエキス5種(ハウスダスト・ダニ・カンヂダ・ネコ毛屑・季節によりスギ花粉又はカモガャ又はブタクサ)これらを同社製アレルゲン治療エキス「トリイ」稀釈液を用いて 各々10億倍〜1兆倍 また必要に応じてそれ以上に稀釈し、もう1種パスパート皮内注射液(マルホ)の合計6種を、別々に27ゲージ針とブルーシリンジ注射器を用いて、0.025〜0.05cc皮内注射します。4mm程度のクワデルを6個作ります。
 全身病の場合:両前腕内側・両上腕内側・背中・腰等 左右対照的に3種づつ打ちます。ツボ等は考えていません。
  整形外科的局所:筋・腱・関節の疼痛・発赤・腫脹で動かせない等は、その局部に6種ツボ 圧痛点を考えなくとも遣ります。
目的
 患者さんのQOLを束縛せず、安価・簡単・全人的医療(ホメオパシー)として、二十一世紀を担う 全き基礎医療となる療法であると確信し発表させていただきます。こんな療法がある。患者さんも、医療を行っている人々も、まず知って欲しい。
 国民皆保険制度下 保険医療機関 保険医 病名主義 という厳しい制限制約の中で、臨床医に許された ほんの僅かの「皮内テスト」という裁量権を使用し、例えば6種組み合わせて行えば、すごい生命反応が起きます。前後を写真にとって発表しますと、それは偶然に起きたんだ! とか プラシーボ効果だ! 等々科学的医療(現在の正統医療 アロパシー)に染まった人々から非難に遭います。受け入れようとはしないのです。自分たちの遣っているアロパシー医療から見れば、受け入れがたいのも当然です。 かつて E.ジェンナーは 或子供さんに牛痘から採取した膿を植え、なんだ牛の子を作るのか、と非難され 20年間医療行為を禁止され その後やっとイギリスの或御婦人団体に見出されたという伝記を読んだこと有ります。日本の丸山千里博士の作られた「丸山ワクチン」は 未だに分けが解らないからか? 薬価の付いた保険治療薬に指定されていない。
 脚気論争のなかには、糠で治るなら小便でも効くだろう 明らかになれば、それは別に新しいことではないという「医学上の発見の歴史には3つの時期がある。はじめに発見されたとき、人々はそれは真実ではあるまいという。真実性が否定できなくなったとき、人々はそれは重要ではないという。重要性が明らかになったとき、人々はそれは別に新しいことではないという」わが国の脚気の歴史はまさしくそれであった。(著 後藤由夫[東北大学名誉教授] 医学と医療 総括と展望P129)
 YITは、或いは 偶然 或いはプラシーボ という良好な効果を醸し出すかもしれない。それも余得効果で、非難の対象とはならないはずです。
 まず こんな療法があるんだ、ということを日本国民皆々様に知って欲しい。
 科学的2重盲検群間比較試験といえども、[何]を対象材料として試験するのか。その[何]を提供したいのです。YITをまず遍く知ってもらいたいと思います。そしたら自ずと2重盲検群間比較試験が方々で行われると思います。尚且つ 偶然とかプラシーボ効果醸成できる医療こそ、非難さるべきではなく、最も良い医療だと考えます。
症例
 あるアトピー性皮膚炎で全身掻き傷だらけの御年寄り(当時80歳位)にこの療法を遣っていました。この方は 他に 酷い左偏頭痛・狭心症・腹部癒着障害・円背 有りました。頑固なアトピーがなかなか治らず、痒がりました。数回〜十数回遣っていると、引っかき傷は無くなりましたが、皮膚が乾燥しこわばった状態になり、それから段々木目細かく、白くなって行きました。その頃になると頑固な偏頭痛も胸の痛みも、腹の状態も良くなり、すっきりし円背も改善し、一回り大きくなりました。
 この方に学び、眩暈偏頭痛を訴えてくる人 閃輝暗点も、狭心症発作中の人、内臓下垂で何も食べたくなく今にも崩れ落ちそうな人、下痢で大腸がたまらなく痛い人(その1例としてO-157に使用した届は、感染症危機管理対策協議会講演録 平成10年12月 日本医師会感染症危機管理対策室p32)入院もしていません。自分の鼾で起きてしまう人、眼瞼が急に下垂してきた人、頭を持ち上げる首の筋肉の力が無くなった人(顎下垂)、顔面神経麻痺(ベルの麻痺)、顔面でも体でも帯状疱疹 前中後痛にゾビラックス使用せずに済む、円背又は亀背で内臓の上下圧宿により色々な症状に悩む人達に今やっています。
 私が今一番重きを置いてYITを遣っているのは、2型糖尿病です。現在猛スピードで驀進中のこの生活習慣病に、急ブレーキをかけられるように思います。HbAlc・T-Chl・TG及び全身的変化を追っています。
 平成12年3月頃から始めた症例を3〜4例提示します。
結果
 こうゆう療法はまず隗より始めよ。5年以上まず自分から遣っています。 小さい時から54歳まで有った蓄膿症は消えました。アレルギー性鼻炎は今も起こります。少し軽くなったかな−という程度です。寝てからの鼻閉は無くなりました。 患者さんに対する症例数 効果等は分析中です。後に示したいと思います。
 印象としては、老化性筋無力又は弱力に効果的です。
 何年も継続していて、本人の心的状態が固着諦念している2型糖尿病及びその合併症の治療には、現在その人が遣られている治療に、加えて遣ると劇的症状改善望めます。
結語
 テスト=反応=治療=副反応=人体実験 この等式は 皮内テストすれば、もうそこでその局所にも全身的にも反応を現し、治療になっており、副作用もちゃんと現れているということです。6個の皮内テストはもう治療になっており、その複合・相乗・累積効果は、1個や2個の皮内テスト局所反応に気を取られている状態ではだめです。無反応と最大反応(アナフィラキシ−ショック)の間には、まだまだ読みきれない数ページがあり、最大反応に至らない、器用な低レベルの臨界値を使用すれば、猛進する生活習慣病に、適度に運動すると同等の、中性脂肪を燃焼させてくれる状態が体内で作れる。それは麻痺等で運動など全く出来ない人にも可能である。
 それはちょうど達磨ストーブに物がいっぱい詰まって、不完全燃焼し煙突からは有害な黒煙をもくもくと外に排出している状態と類似している。 新たな火種を入れてやり、少し掻き混ぜ、風を通してやれば、ゴーと燃える。この燃焼を継続させるには、新たに燃料を入れてやらねばならない。
 燃える物も尽きた所に、新たな火種を入れてやってはいけない。
 人間における栄養失調状態、元々小食で中性脂肪やコレステロールの少ない人にはやってはいけない。